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互いに無言の時間が流れる。 私は静かにベルの前に移動する。 対するベイオウルフは自然体のままだが、この男はこの体勢からでもどの様な状況にも対応するだろう。 「ウィリアム等という名は別に珍しくもない。まさかと思ったが・・・本当にお前が来るとはな」 落ち着いた声でそう言うと、ベイオウルフは私の背後にいるベルに視線を向けた。 「しかもベルナデット・アトカーシアを連れてくるとはな」 「・・・お久しぶりね、バトラー。ご主人様はお元気かしら?」 状況が逼迫している事を理解しているのかいないのか、ベルは平然と言う。 「無論だ。自分がいる限りお嬢様にお変わりがある事など決してありえん」 こちらもにこりともせず平然と答えるベイオウルフ。 ・・・どうする・・・。 内心の焦燥が表に漏れない様に注意する。 魔人ヴァレリアとベイオウルフの恐るべき実力は一度戦って骨身に染みてわかっている。 まったく本来の実力を発揮できない自らの領域の外でも彼らの力は強大だった。 この地も彼らの領域ではないのだろうが、それでも戦うとなれば死を賭したものとなるだろう。 「・・・あのー」 緊迫した空気を、唐突に気の抜けた声が破った。 どこから出したものか、ヤキソバを食べながらエトワールが発言したのだ。 「どうでもいいんだけど、うちら幽霊調査で来たんスけどキャンセルなんでしょうかね?」 その言葉にベイオウルフが沈黙する。 恐らくは自分の一存では状況を決しかねているのだろう。 その時、奥から聞き覚えのある声がした。 「ベイオウルフ・・・何を愚図愚図しているのかしら。調査員が来たのなら早々に仕事にかからせて頂戴」 初めて出会った時の様な、冷徹であまり感情を感じさせない声音・・・『圧し流すもの』の名で呼ばれる8人の魔人の一人、ヴァレリア・バスカーヴィルが姿を現す。 「・・・ふぅん」 ヴァレリアが私の顔を見て小さく呟いた。 表情には欠片も変化は見られない。 一目で彼女は大よその状況を理解したようだ。 「控えなさい、ベイオウルフ。屋敷を戦闘で荒らすつもり?」 「は、お嬢様・・・しかし、ベルナデット・アトカーシアがおりますが」 そうだ。彼女とベルは不倶戴天の敵同士。 互いに自由を得るために殺し合わねばならない間柄なのだ。 「それがどうしたというの? 彼女は私たちが注意を払わなくてはならない存在ではない事はお前もよく知っているでしょう?」 そう言ってヴァレリアはベルを見て冷たく微笑んだ。 「そうよね? ベルナデット。貴女の得意とする召喚術はこの島では神の門の影響でその効果を大幅に減じられる・・・だから貴女は不名誉な『最弱の魔人』の座に甘んじているのですものね」 勝ち誇って優雅に髪をかき上げるヴァレリア。 「そうね。その辺はあなたも知っての通りよ」 ベルも特にその言葉を否定しなかった。 顔から冷笑を消すと、傲然とヴァレリアは我々を見下ろした。 「そういう事よ。貴方達は与えられた仕事をして頂戴。私はその労働に対して然るべき報酬を支払うわ。今日の所は私はそれ以上の事を何も望んでいない」 言いたい事だけ一方的に言い放ってヴァレリアはさっさと奥へ引っ込んでしまった。 プライドの高そうな彼女の事だ。完全に格下に見ている我々相手に二枚舌で罠を張ったりはするまい。 つまり今日の所は向こうに戦闘の意思は無く、ちゃんと仕事したら報酬は支払ってやる、と言う事であろう。 「仕事は説明してある通り、この屋敷に出る幽霊の駆除だ。報酬は・・・」 ベイオウルフが口にした金額は、通常の我々の報酬の数十倍の金額だった。 ・・・そういえば、この屋敷もそうだし何故封印を受けてこの地へ飛ばされてきた彼らがこれほどの財を持っているのだろうか・・・。 答えが返ってくることは期待せずに、一応尋ねてみた。 「封印の地でお嬢様が不自由される事が無いように私がお屋敷の資産より嵩張らず高額なものを持って封印を受けたのだ。ここ数百年間は改装した遺跡で我々は暮らしていたが、この町が出来てそれらの資産を換金する事が出来た。ここを購入したのは2年前だ。今は自分が株をやって資産を増やしている」 多芸だな執事ベイオウルフ・・・。 そういえば・・・。 ベイオウルフに案内されながら数名のメイドとすれ違った。 ここは彼ら2人で暮らしているわけではないようだ。 流石にここをベイオウルフ1人で管理するのは無理だろう。 まあ、肝心な仕事の話をしよう。 それで幽霊とは・・・? 「先月の中頃に、地下室の床に自分が隠し扉を見つけた。不用意に開け放ってしまった所、どうもそれから屋敷のあちこちで『幽霊を見た』と騒ぐ者が出てな」 語るベイオウルフは相変わらずの鉄面皮だ。 感情の起伏の少ない主従である。 「初めは使用人の戯言と聞き流していたが、お嬢様まで見られたとおっしゃるのでな。捨て置くわけにもいかなくなった」 その口ぶりではお前は見ていないようだな。 「ああ。自分は一度もそういったものは目にしていない。確認できれば私が自分でどうにかしたいが、見ていないのでは手の打ち様がない。使用人どももこの件では役に立たん。ましてお嬢様にその様な低俗な霊如きの為にお手を煩わせるわけにもいかん」 くわしい話が聞きたければ使用人から聞け、と言われる。 「お嬢様を不快にさせない限りは屋敷の中では自由にしろ。必要なものがあれば自分に言え」 そして我々は屋敷の1室を宛がわれた。 「・・・いやー、それっぽくなってきましたね」 エトワールはニヤニヤしている。 気楽なものだ。 まあ彼女は魔人だ何だとわからないだろうしな・・・。 我々はとりあえず数名のメイドから話を聞いてみる事にした。 皆、見たというのは青白くぼんやりと輝く半透明の人影で、騎士っぽい男性のものだったりドレスを着た女性らしき人影だったりとその種類は様々だった。 今の所、姿を見られているというだけで特に何かしてくるとかそういった具体的な被害は無いようだ。 「その地下室を調べるべきでしょうね」 ベルがもっともな提案をして、我々はその半月前に見つかったという地下室の更に地下の隠し部屋を調べてみる事にした。 単なる床に見せかけた隠し扉を開いて全員でカンテラを手に梯子を下って行く。 研究室のようだった、とベイオウルフは言っていた。 最も彼も日々の雑務が忙しくそれ以上の事を調べてはいないらしい。 そのフロアは数部屋があったが、確かにここで何らかの研究が行われていたと思しき痕跡が要所に見受けられる。 木の棚に並んだ正体不明の薬品の瓶。 机に並んだフラスコや漏斗等の実験器具。 怪しげな書物の数々・・・。 「なーんか随分露骨に怪しいね」 DDが言う。まったく私も同意見だ。 「こっちの部屋は書斎っぽいですよ」 エトワールに言われた部屋に入ると、確かにそこは書斎の様である。 机の上にはかび臭い日記帳があった。 著名は・・・クラウス・ハインリヒ伯爵・・・先ほどベイオウルフに聞いたこの屋敷の以前の所有者の名前だ。 クラウス伯は今より10年近く前、このアンカーが四王国会議によって自治都市の認可を受けてすぐにこの土地を購入し屋敷を建て、元々自分のいた西欧のさる国より家族で移住してきたという話だ。 しかし間もなく伯爵は家族と共に謎の失踪をとげ、屋敷は無人となり数年間放置された。 そのまま数年が過ぎて荒れるだけだった屋敷を伯爵の祖国の縁者が売りに出し、それをヴァレリアが購入したというわけである。 消えた伯爵の日記か・・・。 ページをめくる。 最初の日付は今から10年前だ。伯爵が移住してきてすぐの頃だろう。 『・・・かゆ・・・うま・・・』 ・・・1ページ目からもう壊れていらっしゃる!!!!!!!!!!! 普通こういうのって段階を追って後ろのページに行くほど壊れていくもんなんじゃないの!!!! ところが読み進めて行くと、最初は意味不明の言葉の羅列でしかなかった日記が日数が進むにつれて少しずつ意味のある文章になってきている。 何だかなぁ・・・普通と逆だな。 新しいパターンだ。 ふと、気になるページで私の指が止まった。 『私の全て・・・最愛の娘ミシェーラが・・・事故で・・・事故で・・・。 荷物を満載した馬車・・・。跳ねられて・・・。 娘が・・・私の娘・・・。』 娘が事故? 馬車に跳ねられた? 『娘が・・・馬車を・・・跳ねてしまった・・・!』 跳ねたのかよ。 そのページは字体が乱れて滅茶苦茶になっている。 更に先のページへと読み進めようとしたその時、書斎に凄い勢いでDDが飛び込んできた。 「ウィル!!・・・幽霊!! 幽霊だよ!!!」 む・・・早速出たのか。 にしても取り乱してるな。場慣れしたDDをしてここまで動揺させるような幽霊なのか? 廊下に出るなり、私もその「幽霊」を目撃した。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・。 一瞬、時間が停止してしまう。 確かにそれは幽霊だった。 薄ぼんやりと輝く半透明の人影だ。 ・・・しかし、額に鉢巻、短パンにゼッケンの付いたランニング、幽霊だけに足は見えないが見えていればきっとスニーカー履きであろう。 そして数はパッと見数えられないくらい大勢。 団体で走りながらこちらへ迫って来ていた。 ・・・うおおおおおおおおおおおおおお彷徨えるマラソンランナーの霊の団体だ!!!!!!!!!! 咄嗟に両脇にエトワールとベルを抱えて猛ダッシュで逃げる。 こっちへ向かってこられると滅茶苦茶怖い!!!!! だがこれは幽霊本来の怖さとは別な気がする!!!! 首にぶら下がる2人ごと無理やり梯子を這い登って隠しフロアを脱すると、更に階段を駆け上って一階へと戻る。 隣を見るとDDはちゃんと自分の足で付いてきている。 ドタバタと廊下を疾走する我々に、出てきたベイオウルフが怒声を上げた。 「何事だ騒々しい! 不用意に物音を立てるな!!」 見えんのか!! 霊の集団だ・・・!!! 走る速度を緩めず、私は背後から団体で追ってきているマラソンランナーの霊の集団を指した。 「何・・・? 何もいないぞ」 そちらを見てもベイオウルフの表情に変化は無い。 ダメだこいつ見えてない!! 霊感0か!!!! 「・・・煩いわね。挽肉にされたいの?」 そこへヴァレリアも部屋から出てきた。 しかし彼女は私が何か言うよりも早く、マラソンランナーに気付いたらしい。 「・・・・は・・・・?」 と呟くと襟がカクンと落ちて右の肩がはだけたのだった。 第22話 1← →第22話 3
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フローチャート プレイヤー(高校生側)向けフローチャート。 屋敷に入るまで 人面岩人面岩のかけらが手に入る。 僧侶の手数珠が手に入る。 卦三郎の墓 卦三郎の声 屋敷から逃げる?何度逃げても特に意味はない。 屋敷のまわり(左)ワナが仕掛けられていない場合は鉄のくさりが手に入る。 屋敷のまわり(右)ワナが仕掛けられていない場合はさびたナイフが手に入る。 屋敷2階(前半) 一人プレイで初回だと非常に高確率でドレーフスの部屋が選ばれる。 空き部屋良い幽霊・悪い幽霊良い幽霊(白色)の場合、「何か良いもの」を選ぶと宝石の巾着が手に入る。悪い幽霊(黒色)の場合は高校生側の得になる展開はないし、追及しすぎると攻撃を受ける。 使用人部屋4択だが、モップにはワナは仕掛けられていない。かびたメイド服が手に入る。 読書部屋呪いのペーパーナイフが手に入る。幻覚を見たヒロが仲間に襲いかかることになるが、鉄のくさりを持っていると、ヒロが「鉄のくさりを使う」を選べばダメージが少なくて済む。 ドレーフスの部屋ヒロが血塗りの日記を満足させるまで痺れる(体力を5消費した時点で呪いが解ける) ユイとヒロで一緒に運ぶ(ユイとヒロが体力を2づつ失う) 日記を持ったユイをヒロが抱きかかえて運ぶ(ユイが体力を4失う)最初の選択肢は「もっと部屋のようすを調べる」が必ず正解。血塗りの日記が手に入る。 この部屋をクリアするとシャルロッテの人形の部屋が出るようになる。 シャルロッテの人形の部屋さびたナイフを持っていないと鎧の騎士との戦いでヒロが体力を5失う。持っていれば無傷で通過できる。 高校生それぞれの選択次第でダメージを受けたり受けなかったりするが、本人の視点でしか何が起こっているかはわからないようになっている。 人形の攻撃でユイが気絶した場合、レスリーは人形を探すのが正解。念を使っても人形は倒せない。 人形の攻撃でレスリーが気絶した場合、シャルロッテにひたすら辛く当たれば(ユイは)無傷で脱出できる。 シャルロッテの部屋の中では3人のうち、誰の体力が0になってもペナルティはない。 屋敷2階(後半) 病弱な婦人の部屋制服のリボンタイ、数珠、蒔絵の櫛などと交換でカメオのブローチを入手。数珠または蒔絵の櫛と交換した場合はさらに冬色の口紅を入手。 引き出しの中を何度か調べると銀の指輪を入手。 書斎読んだ本によっては「屋敷のどこかに時間を戻せる時計がある」という情報が手に入る。窒息の戯曲が手に入る。この部屋にカンバラの仕掛けるワナはない。 鏡のある着替え部屋選択肢を間違えるとドッペルゲンガーが出現しているキャラの体力が減るが、高校生側には表示がないので油断すると危険。 ユイのドッペルゲンガー人面岩に情報を聞いていると簡単にクリアできる。 ヒロのドッペルゲンガーレスリーにバトンタッチする。遺書を書かせる。 レスリーのドッペルゲンガーヒロは役に立たないのでユイにバトンタッチする。未来の予定を聞く。 孤独の手鏡が手に入る。 カルパッタの部屋青い宝石箱の中には蒔絵の櫛が入っていることがある。ユイの気力が3以上あれば正攻法で、そうでなければ叩いて壊すこともできるが…… 黄色い宝石箱は普通は無害だが、ユイの気力が少ないと大ダメージを受ける。 宝石の指輪が手に入る。カルパッタとの交渉では基本的に体力・気力全てなど高い値段をふっかけられるが、空き部屋で手に入れられる宝飾の巾着を持っていると交換で手に入れることもできる。 物置部屋まず部屋に入るための鍵を探す必要がある。ヒロが鎧の騎士と戦って怪我をしていない場合、ダメージを受けるが体当たりで扉を開けられる可能性がある。 ユイが記憶喪失になった場合 ヒロが記憶喪失になった場合 レスリーが記憶喪失になった場合 忘却の万年筆を入手。書斎で情報を得た上でこの部屋に入るとフラグが立ち、終盤時間切れになった時に時計を使って時間を巻き戻すことができる。 屋敷1階(前半) どれか1つの部屋をクリアすると後半に移行してしまうため、欲しいアイテム・埋めたい幽霊がある場合は「もう少し待ってみる」を選んで希望する部屋が現れるまで待つ必要がある(選ぶたびに演奏室→食堂→客間→演奏室とローテーションする)。 ただし、待つとカンバラ側が仕掛けたワナを必ず食らう。このワナには多くの種類があり、全員の気力が差し引き1減るだけのものから、残り時間が減る凶悪なものもある。ここにベストエンドに必須のアイテムはなく、どれか1つの部屋をクリアすれば進める。 ピアノのある演奏室演奏を聞くか聞かないか、その楽曲によって体力と気力が大量に回復したり減ったりする危険な部屋(体力が回復する楽曲、気力が回復する楽曲、体力ダメージを受ける楽曲、気力ダメージを受ける楽曲の4つが順不同で必ず1回は流れる)。演奏は全スルーでも構わない。 ユイの気力が充分にないと道草を食うことになり、ピアノの鍵盤を探す前に気力が減ると危険。呪われたピアノの鍵盤を入手。 食堂美味しい料理を食べると体力が回復する。 「まずい料理」(出てこないこともある)を食べるか、悪霊の入った料理を食べると進行。 この時、全員の気力が2以下で悪霊の入った料理を食べると即死エンドなので注意。 仮の結婚式を挙げることになるが、指輪をどうやって手に入れるか、そこまでの展開によっておおよそ4通りに分岐する。シャルロッテの部屋が一番危険。人形から食らう体力ダメージは選択肢の上から順に1、2、3、4になっているので一番下の選択肢は最後まで選ばないこと。 ヒロがレスリーに指輪をプレゼントしていれば別展開。ユイの気力が残っていれば生還できる。 カルパッタと面識があり、蒔絵の櫛で怒らせていなければ指輪を購入または交換できる。呪われたマイセンの皿を入手。 客間夢の世界へ。 カンバラの仕掛けるワナは一番少なく、演奏室や食堂より安全だが、選択肢を間違えると即死する(よく注意を払っていれば比較的わかりやすい)可能性があるので注意。死刑のコインを入手。 屋敷1階前半をクリアすると、しばらく扉の向こうには行けなくなる。森の中に出られると思って扉の外に出るとゲームオーバー。 屋敷1階(後半) 地下室選択肢はない。 遊戯室ピエトロと知恵比べ。トランプ(カード)を選んでも謎掛けを選んでも展開・選択肢は固定だが、没データが存在する。勝てば呪いの15番ボールが手に入るが、このアイテム自体に意味はない。ミコを救出するのに必須となるテニスボールを探せるようになるフラグが立つ。 危険な部屋(リッチの部屋)「レスリーが顔をしかめている」と表示される部屋。全員体力に大ダメージを受けやすいので実際かなり危険。 人面岩のかけらを持っていると、ヒロが体力を1吸われるかわりにリッチの弱点を教えてくれる。 死神の王冠を入手。 静かな部屋「レスリーが顔をゆるめている」と表示される部屋。残り時間が「やや少ない」以上に残っている状態でこの部屋に入ると眠気に襲われ、体力と気力が全回復するが、制限時間がほぼゼロになるワナの部屋。 残り時間がもともと少ない状態で入っても何も起きない。 地下室(2回目)地下室の鍵を探す。 ユイの気力が3以上ないとたらい回しにされるので危険。 ワイン庫でダメージを受けた場合はペティナイフが手に入る。地下室の鍵を入手。 屋敷1階で探せるもの 鍵とテニスボール以外は「なにかいいもの」を選ぶと探せるが、何が出てくるかはカンバラ側に決定されてしまうので理由がない限り選ぶ必要はない。 ダーツほとんどワナに等しくユイかヒロがダメージを受けるが、さびたナイフもペティナイフも持っていない場合は役に立つ。 スペードのエース全員の気力が0になる上にアイテムは(恐らく)役に立たない。 鼻眼鏡冬色の口紅を持っていない場合はミコ生還フラグになる。 ミコをおびきだすアイテム(テニスボール)遊戯室をクリアすると探せるようになる。ミコ生還に必須。 船の絵絵の中でフラグを立てると探せるようになる。 絵の中 田園の絵町並みの絵でヒントを読むか、冬色の口紅を使ってミコの絵を描いた後、テニスボールを持っていると猫のミコと再会できる。 並木道の絵 町並みの絵鼻眼鏡を持っていると町並みに書かれた文字が読める。『見かけない子猫なら、麦畑にいましたよ。幽霊みたいなかわいい子猫』 港の絵ここを探索することで船の絵を探すフラグが立つ。 最終盤 嵐の海船の絵が必要。 一度出港してしまえば選択肢はない。シャルロッテの赤い靴を入手。 カンバラの部屋忠誠を誓うと即死。 「忠誠を誓えという卦三郎がニセもの」「悪口を言えという卦三郎がニセもの」とそれぞれ1回づつ選択する必要がある。 呪いのアイテムは3つあるが、黒い真珠のネックレス以外は即死。 森の中ヒロが生還するにはさびたナイフ、ダーツ、ペティナイフのいずれかが必要。 初期ステータスで全員生還エンドは可能か? 運がよければ(カンバラ側が殺しにかからなければ)一定の確率で可能です。 初期ステータスでも時間には多少余裕があり、体力・気力が理論上足りなくなるシーンはない。屋敷1階終盤は時間が少なくなると部屋を変えられなくなるので、遊戯室をクリアしないと手に入らないテニスボールの入手が最大の難関。
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振り切れない! 明らかに亡霊ランナーの集団は私達を追ってきている。 その証拠に、開いていた大窓から庭へと私が飛び出せば、ご丁寧に全員が同じ窓から庭へと飛び出してくる。 「いやー・・・先生タフですね」 私に小脇に抱えられたままのエトワールが感心した様にそう言ってきた。 そうなのだ。私は未だ両手にベルとエトワールを抱えたまま逃げているのだ。 いくら軽量の女の子2人とは言え、考えてみれば只事ではなかった。 ショックで感覚が麻痺していたのだが、いざ言われてみると一気に疲労が来る。 両手の2人の重量が増した気がする。 しかしここまで来たらもう下ろしている余裕は無い。 その間に追いつかれてしまうだろう。 そもそも追いつかれてどうなるのかわからないが、少なくとも幸せになるような事は無い気がする。 その時、私は足がもつれて前へと倒れた。 倒れながら私は身体を反転させ、何とか両手の2人が地面に叩きつけられる事のないよう自分が下になる。 ・・・くっ・・・しまった・・・!!! もう立ち上がって再度逃げる余裕はあるまい。 立ち上がって体勢を立て直し迎撃しなくては・・・!! そう思って何とか私が半身を起こしたその時、マラソンンランナー達が私達の脇を集団で通り過ぎていった。 ・・・・・・何・・・・・・? 呆気に取られて振り返る。 私達の脇を通過したマラソンランナーの集団は、両手を上げて喜びを表現するとそのままスーッと周囲に溶けていくように消えた。 ・・・どういう事だ一体。 「何もされなかったでしょ?」 そう言ってDDがこちらへ歩いてくる。 そういえばいつの間にかDDとはぐれていたな。 「ウィルが窓から飛び出そうとしてたあたりでさー。とにかく1発殴ってみようと思ったのよね。それで振り向いてあいつらの方向かってったんだけど、皆私避けてそのまま走ってっちゃってさ」 「あー、それはつまりアレですよ」 思いついたようにエトワールが言う。 「競技走者のサガってやつ? 前走ってる奴は抜かないと気が済まないってゆー」 ぶ!!! だったら最初から逃げなければよかっただけだったのか・・・!!!! 初っ端から思い切り疲れた。 正直な所もうリタイアして帰りたい所だが、そうするにはあまりにもベイオウルフの提示した金額は魅力的過ぎた。 借金まみれのわが身が恨めしい。 気が付けばうちの事務所も2桁を超える所員がいるんだもんなぁ・・・。 (一応の)トップとしては我侭も言ってられん。 借金を少しずつ返しつつも皆を食わせていかなければ。 そんなわけで我々は気を取り直して捜査を再開した。 少なくともこの屋敷に幽霊が出るというのはガセネタでも見間違いでもなかったしな。 そして私はふと、エトワールを見る。 「・・・やだ、そんな熱い視線で」 何故か顔を赤らめてもじもじし始めるが気にしない。 ・・・さっきのあれは除霊できなかったのか? なんか700匹除霊したっていう話だし。 「ムリムリ。あんな元気な霊に除霊とかできませんてば。除霊するならまず対象を完全に無力化して無抵抗の状態にしてもらわないとね~」 あっけらかんと言われた。 つかそこまでの状態にできるならもう除霊とかいらん気もするんだが・・・。 やりとりしながら我々は隠しフロアへと戻った。 やはりどう考えてもここが一番怪しい。 まずはさっきの書斎を・・・。 足が止まる。会話も止まる。 「新手」が待ち構えていたのだ。 今度は1人だった。 スポーツウェアなのは変わらず。手には卓球のラケットと球を持っている。 「うわ、めっさこっち見てますよ。アレはもう数年来のライバルを見る目ですよ」 エトワールの言う通り、その卓球男の霊はじっとこちらを見ている。 その視線はじっとりと粘りつくような執念(怨念か?)を感じさせる。 スチャッと卓球男が構えを取った。 む・・・来るか・・!!! パシン!!!とスマッシュしてきた球が私に炸裂した。 痛い! 結構痛い!!! パシン!! パシン!! と次々に球を取り出してはスマッシュで私に叩きつけてくる卓球男。 いたたたた!! ・・・ちょっ・・・誰か何とかしてくれ!! 「・・・うーん、掴めないなぁ・・・」 卓球男を取り押さえようとしたDDの手は男に触れる事ができずにスカスカと空を切っていた。 その卓球男のスマッシュ攻撃が止んだかと思えば、今度は何者かが後ろから私に組み付いてきた。 そして有無を言わさず私を床へと引き倒して圧し掛かってくる。 ・・・・わー!!!!! 今度はなんだああああああああ!!!!! そんな私の状況を見たエトワールが解説してくれた。 「アマレスアマレス。しかも多分モーホー」 ギャアアアアアアアアアアア助けてくれええええええ!!!!!!!! もうプロでもアマでもレスリングこえーよ!!!!!!!!! しかもこいつ幽霊のくせに何か生暖かい!!!!!!!! ・・・申し訳ありませんが、我々の手には余りますので引き上げようと思います・・・。 寄ってたかってスポーツマン達の霊にボロボロにされた私は、よれよれの姿のまま雇用者であるヴァレリアへそう報告していた。 アマレスの後もウェイトリフティングに持ち上げられたり、水泳にバタ足で蹴られたりした。 大怪我するような攻撃ではないものの、とにかく精神的ダメージが大きい。 このままここにいたら何か大事な物を失いそうだ。 報酬は惜しいがもうそういうレベルの話ではなかった。 元運動部のエクソシストとか雇って対処してくれ! じゃ!! 「・・・お待ちなさい」 立ち去ろうとした私の足をザッと足元を走った波が払った。 分厚い絨毯に転倒する私。 ぐいっとその背をヴァレリアが踏みつけてきた。 「恥かしくないの? 男として・・・。一度受けた仕事を投げ出していくなどと」 ぐりぐりと背を踏み躙られる。最も向こうは体重をかけていないので痛みはほとんどないのだが・・・。 「とにかく、放棄はわたくしが許さないわ。貴方にも矜持というものがあるのならきちんと与えられた仕事はこなしてみせなさい」 ちょうどそこへメイドが1人入ってきた。 「失礼致します。お嬢様、お食事のご用意ができておりま・・・」 メイドの言葉が止まった。 そりゃそうだろう。目の前で主人が床に四つんばいになっている私の背中を踏みつけているのだから。 しかし気丈にもメイドはすぐに澄ました表情の下に同様を押し隠した。 「お食事のご用意が出来ております。お客様方の分もご用意させていただきましたが、如何致しましょうか?」 こほん、と一つ小さく咳払いしてヴァレリアが私の背から足を床に戻した。 「全員分の食事を並べて頂戴」 かしこまりました、と一礼してメイドが出て行く。 「・・・空腹だから弱気にもなるのでしょう。まずは食事をとりなさい」 ヴァレリアの口調は相変わらずの冷厳さであった。 「・・・あれ? 帰るんじゃなかったの?」 廊下へ待たせていた皆の所へ戻った私にDDがそう声をかけた。 ・・・いやそれが、いいからメシを食っていけと言われた。 「おー、食い物で釣る作戦ですね? うちはお腹も空いたし釣られてみたいと思います。もう、こー、シュポーンって」 特に反対意見も出ず、我々は食堂へ移動した。っていうか攻撃ひたすら食らって疲弊してるの私だけだしな・・・。 上座にはエトワールがおり、その脇にはベイオウルフが控えている。 しかしまさか、この2人と食卓を共にする時が来るとは思わなかったな・・・。 食事が始まり、我々は会話をしながら料理を口にしていたが上座の2人は無言のままだ。 ・・・まあ、突然談笑し始めたりしたら焦るが。 やがてメインディッシュが運ばれてくる。 「お待たせ致しました。大王海老のステーキ、ホワイトソース和えでございます」 む!!!! 何か高級食材が出てくるだろうとは思っていたが大王海老か・・・!! 大王海老とは、馬ほどの大きさもある巨大な海老である。巨大だが大味ではなく、濃厚にして美味であり味の面でも「海の皇帝」と称される生物だ。 ただし捕獲は極めて難しく。協会のBランク生物に指定されている。 海のBランク生物は陸上のAランクに相当すると言われており、それはいくら猛者を準備しても船が脆ければ話にならないので、捕獲には軍船レベルの船が必要になる為だ。 大王海老もその例に漏れず、基本臆病な生物である為、船や人影を察知すると高速で逃げていってしまうのだが、一度攻撃に転じればその巨体と鋼鉄のような硬度の外皮から繰り出される体当たりで並の船であればあっという間に沈没させてしまう。 その為この世界中の美食家達の舌を唸らせ愛され続けている海老の入手は極めて困難であり、価格は凄まじく高い。 私も確かこれで3度目だな口にするのは・・・。 ちなみに以前の2回は帝國の剣帝時代の話だ。国を出てから数十年は1度も口にしていない。 「お、すっごーい。久しぶりだよ」 DDが感嘆の声を上げる。流石に彼女は食べた事があるようだな。 「・・・何? 凄いエビなの?」 ベルは首をかしげている。まあ上の大陸では間違っても食べられないだろうし、存在自体知らないのも無理は無い。 目の前にだされた皿には白い海老の身が肉厚に切り分けられていた。 うわまた贅沢な大きさだな・・・。前食べた時はこれの半分くらいだった気がするぞ・・・。 エトワールはさっさと身にナイフを入れてもぐもぐやっていた。 「・・・・・・ん、いいね。シェフこれいい腕だ」 そしてシェフの腕を褒めている。 ・・・そうなのか? 私はただ食材の旨みに圧倒されるばかりでシェフの腕とかまで考えが及ばんが・・・。 というかシェフの腕の差がわかるほどこの海老を口にしているということなのか・・・。 食事を終え、我々は食後のワインを口にしていた。 そこでようやくここまで無言を貫いていたヴァレリアが口を開く。 「・・・どう? お腹も膨れて少しは落ち着いて? 宿泊用に部屋を用意させるわ。不本意だけど時間がかかるのも仕方がないわね。必ず幽霊は駆除して頂戴」 優雅にワインを口にしながら宣言するかのようにそう言う。 ・・・むう、エトワールの言うように食い物に釣られたわけではないものの、帰り辛い空気にはなってしまった。 「しっかしー・・・」 こちらもワインを飲んでいたエトワールがヴァレリアを見て口を開く。 どうでもいいがいいのかこの娘は酒飲んで。年齢的に。 「随分こだわりますね~お嬢サマ。あれですかひょっとするとひょっとしてお嬢サマはあれなんですかね。オバケとか怖いクチなんですかね」 ニヤニヤ笑って言うエトワール。 ・・・うわぁおいおいヘンな挑発しないでくれ。 相手は世界を震撼させる魔人の1人なんだぞ君は知らんだろうが。 「・・・食後の冗談としても、出来はいまいちといったところね」 しかしヴァレリアは冷たく笑ってナプキンを口元に当てただけだった。 そこで話は終わるかと思いきや、突然弾かれたようにエトワールが立ち上がってヴァレリアの背後を指差す。 「あーっ!!!!!! 学校帰りの中学生に万引きされて注意したら逆ギレされて殺された駄菓子屋のバーコード頭のオヤジの霊!!!!!!!!!」 なんてしょぼい霊!!!!!!! 我々は呆気に取られただけだったが、ヴァレリアの反応は違った。 彼女は「・・・ヒッ!」と短く悲鳴を上げるとガバッと背後を振り返った。 そして必死に背後の空間を見渡す。 しかし当然口から出任せなのだ。そこにオヤジの霊などいない。 やがて彼女もその事に思い至ったのだろう、ギギギギと軋む音が聞こえてきそうな程ぎこちない動作でテーブルへと視線を戻した。 「・・・つ、つまらない諧謔ではあったけど、無碍にするのも大人気ないものね。乗ってあげたわ」 「お、お嬢様・・・ご衣裳が・・・」 こちらも珍しく少々の狼狽を含んだ声でベイオウルフが主へ呼びかける。 「・・・え?」 言われてヴァレリアは初めて気が付いた。 彼女が手にしていたワイングラスはテーブルに倒れ、流れ出たワインはテーブルを伝って彼女のドレスのスカートに滴っていたのだ。 「ふふ~~~ん?」 エトワールがニヤリと笑った。 わぁあれはネズミを前にした猫の笑みだよ。私にはよくわかる・・・何せよく私もあの笑い方されるからな身内に。 と、そこへドアから顔を出したものがいる。 バーコード頭のオヤジだ・・・・。 「どーもー、失礼します。アンカー・ガスの者です。ガス灯の点検にお伺いしまし・・・」 「『螺旋を描く蛇』ぃぃぃぃっっっっ!!!!!!!」 悲鳴じみた声でヴァレリアが叫んだ。 巨大なドリル状の回転する水塊を思い切り食らった作業着姿のバーコート頭のアンカー・ガス社の作業員のおじさんは 「・・・ガスを大切にねッッッ!!!!!!!!」 と叫んで吹き飛ばされていったのだった。 第22話 2← →第22話 4
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包括団体名 名称 所在地 電話番号 本務 住職在 朱印 霊場等 二ツ名 真言宗豊山派 千手院 金剛般若寺 佐倉市井野152 043-487-2803 下総三十三ヶ所観音札所 時宗 光勝寺 佐倉市臼井1236-1 佐倉八十八ヶ所 日蓮宗 妙覚寺 佐倉市臼井台1201 043-487-8468 曹洞宗 宗徳寺 佐倉市臼井台1277-1 043-487-3174 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 実蔵院 佐倉市臼井台217 043-487-1190 日蓮宗 妙伝寺 佐倉市臼井台31 043-487-3032 真言宗豊山派 常楽寺 佐倉市臼井田77-1 浄土宗 龍澤山 立忠院 長源寺 佐倉市臼井田818-2 043-487-3940 真言宗豊山派 常楽寺 佐倉市臼井田877-1 佐倉八十八ヶ所 臨済宗妙心寺派 圓應寺 佐倉市臼井田966-1 043-487-3834 佐倉八十八ヶ所 単立・仏教系 亮誘山 真証寺 佐倉市王子台4-13-13 臨済宗妙心寺派 報恩寺 佐倉市下志津841 043-461-1408 真言宗豊山派 西光寺 佐倉市下勝田285 佐倉八十八ヶ所 時宗 海隣寺 佐倉市海隣寺町78 043-485-6043 臨済宗妙心寺派 圓通寺 佐倉市角来163 043-484-2759 黄檗宗 大雄寺 佐倉市角来429-2 真言宗豊山派 円輪寺 佐倉市寒風126 日蓮宗 長福寺 佐倉市岩富1849 043-498-1492 日蓮宗 蓮乗院 佐倉市岩富983 日蓮宗 教蔵寺 佐倉市岩富町400 043-498-1156 日蓮宗 福寿院 佐倉市岩富町422 真言宗豊山派 玉泉寺 佐倉市岩名642 曹洞宗 万福寺 佐倉市吉見510-1 043-487-4071 佐倉八十八ヶ所 曹洞宗 東福寺 佐倉市宮前3-14-2 043-484-1277 日蓮宗 正国寺 佐倉市宮内328 顕本法華宗 要行寺 佐倉市高岡379-4 真言宗豊山派 正光院 佐倉市高崎552-1 佐倉八十八ヶ所 真宗大谷派 了因寺支坊 佐倉市高崎707-1 043-485-7064 浄土宗 金剛山 願生院 西福寺 佐倉市坂戸1090 043-498-4630 天台宗 長福寺 佐倉市山王2-60-2 043-485-9333 曹洞宗 隆祥寺 佐倉市山崎461-3 043-485-3270 真言宗豊山派 密蔵院 佐倉市寺崎2960 043-484-1395 佐倉八十八ヶ所 曹洞宗 慈眼寺 佐倉市小篠塚565 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 西福寺 佐倉市小竹977-1 043-487-2042 真言宗豊山派 興隆寺 佐倉市小竹字向台699-1 043-487-1190 臨済宗妙心寺派 宝樹院 佐倉市上座1041 043-487-6505 真言宗豊山派 西福寺 佐倉市上志津1240 043-487-2803 日蓮宗 妙勝寺 佐倉市上勝田118 真言宗豊山派 円明院 佐倉市上別所175 佐倉八十八ヶ所 浄土宗 光明山 円城寺 佐倉市城672 佐倉八十八ヶ所 浄土宗 二尊山 東專院 教安寺 佐倉市新町140 043-484-1229 曹洞宗 嶺南寺 佐倉市新町74 043-485-1475 難 佐倉八十八ヶ所佐倉七福神 天台宗 甚大寺 佐倉市新町78-1 043-484-0003 可(2)・十一面観音・毘沙門天 佐倉七福神 臨済宗妙心寺派 宗円寺 佐倉市新町89 043-485-3625 難(書置有) 佐倉七福神 浄土真宗本願寺派 延覚寺 佐倉市新町96 真言宗豊山派 専栄寺 佐倉市生谷498-2 043-461-5210 佐倉八十八ヶ所 ぽっくり弁天 真言宗豊山派 正福寺 佐倉市青菅131-1 043-487-6866 浄土宗 本然山 稱念寺 佐倉市青菅98-1 043-487-0202 曹洞宗 養昌寺 佐倉市石川154 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 観照院 佐倉市石納547 臨済宗妙心寺派 雲祥寺 佐倉市先崎966-2 真言宗豊山派 新照寺 佐倉市太田1457-1 043-484-2316 佐倉八十八ヶ所 曹洞宗 東泉寺 佐倉市太田1751-1 043-484-2650 佐倉八十八ヶ所 真言宗智山派 住善寺 佐倉市大佐倉141 043-486-0431 真言宗智山派 寳珠院 佐倉市大佐倉143 043-485-6397 曹洞宗 勝胤寺 佐倉市大佐倉1467-1 043-484-2305 真言宗豊山派 西福寺 佐倉市大篠塚806 佐倉八十八ヶ所 真言宗智山派 自性院 佐倉市大蛇町18-1 佐倉八十八ヶ所 真言宗智山派 蓮藏院 佐倉市大蛇町387-1 真言宗豊山派 多宝院 佐倉市直弥172-1 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 宝金剛寺 佐倉市直弥38-1 043-498-2515 佐倉八十八ヶ所 曹洞宗 勝全寺 佐倉市鏑木町1147-1 043-484-2044 佐倉八十八ヶ所 日蓮宗 妙隆寺 佐倉市鏑木町188 043-484-0188 可(2) 佐倉七福神 曹洞宗 周徳院 佐倉市鏑木町625 043-486-0366 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 大聖院 佐倉市鏑木町661-2 043-484-1682 書置のみ(2)・大黒天・布袋尊 佐倉八十八ヶ所佐倉七福神 真宗大谷派 重願寺 佐倉市鏑木町964 043-487-3108 真言宗豊山派 宝寿院 佐倉市天辺175 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 正福寺 佐倉市土浮710 浄土真宗本願寺派 延覚寺 佐倉市内新町96 043-484-2980 日蓮宗 妙宣寺 佐倉市内田4 043-498-1198 真言宗豊山派 千蔵寺 佐倉市馬渡1442 真言宗豊山派 善養院 佐倉市馬渡889 043-498-0702 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 不動院 佐倉市八木216 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 東福院 佐倉市八木709 真言宗豊山派 正光寺 佐倉市畔田400-1 佐倉八十八ヶ所 日蓮宗 昌柏寺 佐倉市本町54 043-484-2444 日蓮宗 妙経寺 佐倉市弥勒町145-1 043-484-0625 浄土宗 玉寶山 清光院 松林寺 佐倉市弥勒町93-1 043-484-1395 難 佐倉七福神 曹洞宗 勝寿寺 佐倉市弥勒町95-1 043-484-2307 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 鏡宝寺 佐倉市六崎792 043-486-2900 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 普門院 佐倉市六崎871 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 玉蔵院 佐倉市神門532 043-489-3091 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 普門院 佐倉市羽鳥1044 043-484-2830 佐倉八十八ヶ所 臨済宗妙心寺派 浄光寺 佐倉市羽鳥1110 佐倉八十八ヶ所 真言宗豊山派 成福院 佐倉市飯重922 佐倉八十八ヶ所 真言宗智山派 慈眼寺 佐倉市飯田1746 043-485-1364 臨済宗妙心寺派 常安寺 佐倉市飯野186 043-485-5748 真言宗豊山派 東徳寺 佐倉市飯野691 日蓮宗 長国寺 佐倉市飯塚96-1 043-498-1667
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テーブルの上に置かれたビスケットを口に放り込み、 高級酒を喉の奥に流し込みながら使い魔の話に耳を傾ける。 この部屋は昔ここにあった貴族の屋敷の一室だそうだ。 もうとっくに失われたはずのそれが何故ここにあるのか。 その理由を聞いた時、私は思わず呆れ返った。 これは屋敷が幽霊になったもので、そいつは自由にそれを扱えるらしい。 にわかには信じられない話だったが、 喉を通り抜けて床に零れ落ちるワインを見ては信じるほかない。 “じゃあお前も幽霊なのか”と訊ねるとそいつはキッパリと否定した。 幽霊じゃなくて、そいつは自分の能力だと言った。 “そんな魔法はない”と反論すると『スタンド』という答えが返ってきた。 系統どころか一人一人が違う、その本人だけにしか使えない魔法とは別の力。 そして、そいつのは『生き物以外の幽霊を自由に操れる』能力だった。 話を聞きながら、わたしは部屋に置いてある品に手をつける。 その中には、見た事もない文字で書かれた本や何に使うのか分からない道具まであった。 辛うじて使い道が分かる鉄の塊を手の中で遊ばせながら問うと、 それらの品はそいつが持ってきた異世界の幽霊だと答えた。 訳の分からないまま、こちらの世界に呼び出されたので隠れて様子を窺っていたらしい。 どうして隠れたのかと強い口調で訊ねると、わたしが怖かったという率直な意見が帰ってきた。 わたしは容赦なく引き金を引いて、その正直者に鉛玉の褒美をくれてやる。 溝が刻まれた銃口から放たれた弾丸はそいつを通り抜けて酒瓶を撃ち砕く。 やはり酒と同様、弾丸も人間の身体を通り抜ける事が判明した。 実験するまでは確信が持てなかったが自分の推察力の高さに惚れ惚れする。 顔面が蒼白になっているそいつを無視して拳銃を見つめる。 撃鉄を起こすと弾倉が回転して次の弾が撃てるようになる機構。 その仕組みを頭では理解できてもハルケギニアの技術では作れない。 ああ、くやしいけどガリアでも無理だ。 異世界から来たって言うのも信じなければならない。 ここにある物は味わう事は出来ても消化する事は出来ない。 空腹を満たすには、どうにかして食べ物を入手する必要があったわけだ。 その所為でわたしが嘘吐きや異常者ついでにコソ泥扱いされたと憤激すると、そいつは萎縮した。 どうやら少なからず、わたしに対して罪悪感があったようだ。 謝罪の言葉を受け付けずにわたしはふんぞり返った。 そんなもの幾らでも並べ立てられるし、何の得にもならない。 もちろん、この世界のお金を持っているはずもないだろう。 厨房ついでに余所様の部屋を荒らしてなければだが。 “どうすれば許してくれるの?”と問うそいつに、 わたしはニヤリと笑みを浮かべながら答えた。 「身体で返しな」 抵抗する間も与えず襟を掴んで唇を奪う。 焼け付くような痛みに悶絶する顔を横目に、 そいつの身体にルーンが刻まれるのを確認する。 唇を重ね合わせながら暴力的な感情に身を委ねる。 苦痛に歪む顔が、刻まれる証が相手を屈服させた気にさせる。 わたしという支配者が手に入れた最初の奴隷、それがこいつだった。 名前は“エンポリオ”。 それを訊ねたのは一番最後だ。 わたしには必要のない情報だったから。 使い魔に名前を付けるのはメイジに与えられた特権だ。 元から名前があろうがなかろうが関係ない。 シャルロットだって自分の使い魔を呼びやすい名前にしている。 だけど、わたしの考え付く素晴らしい名前もこいつには相応しくない。 そんなわけで単純に簡潔にわたしは名付けた。 吸い付いた唇を離し、面と向かってそいつに教えてやる。 「お前は今日から“幽霊”だ。それで十分だろう」 そいつも、その名前が気に入ったのか顔を引き攣らせていた。 幸運な奴だ。わたしのような高貴な人物に召喚されるなんてな。 「さっきの人形は? あれも魔法?」 「まあ似たようなものだけど“スキルニル”って古代のマジックアイテムよ。 姿形ばかりか本人と同じ能力を完全に複写するの。 まだ試した事ないから『スタンド』とやらはどうか知らないけど」 「そんな凄いの、どこで手に入れたの?」 エンポリオの問いに、イザベラはあからさまに表情を曇らせる。 聞いてはいけなかったな?とエンポリオは口を噤んだ。 言うべきかどうかを悩んだ末に彼女は答えた。 「……子供の頃、父上から貰った」 「ああ、護身用だったんだ」 「いや、従姉妹が母親から人形を貰った喜んでて。 それでわたしもつい欲しくなってねだったの、父上に」 「……………」 「そしたら何を思ったのか、こんな物を送りつけてきた。 多分、実用性があった方がいいと思ったんでしょ。 便利だから王宮から抜け出したい時とかに使ってるけどね」 苦笑いを浮かべるイザベラの横顔を眺めながら、 エンポリオは奇妙な既視感を覚えていた。 どこかで見たような気がすると記憶を掘り起こす。 そして、ふと彼はその光景を思い出した。 娘を心配しながらも、それを表面に出せない不器用な父親。 そして、愛していながらもその父親に辛く当たってしまう娘。 刑務所の面会室で繰り広げられた二人の争い。 「何を生易しい目で見てやがる! 幽霊の分際でわたしに同情するな!」 エンポリオの頭を抱え込んで側頭部に拳を押し付ける。 イザベラの八つ当たりを受けながらエンポリオは確信した。 やはり彼女はどうしようもないほど不器用なのだという事を。 「それで、そのちっこい子供がアンタの使い魔なの?」 「ああ、そうさ。そのしょぼい面のがあんたの使い魔かい?」 二人のメイジと二人の使い魔が顔を合わせる。 険悪な表情で視線を交錯させる彼女達の横で、彼等は初めて顔を合わせた。 片方はパーカーとジーンズ。もう一方は野球のユニフォーム。 ハルケギニアでは在り得ない服装に彼等は互いの出自を知った。 “平民の使い魔だって笑っていたくせにアンタも同じじゃない!” “俺は平賀才人。日本人だ。……えーと、言葉は通じるよな?” “猫や犬じゃ掃除も洗濯も出来ないからね。召使い代わりには使えるさ” “僕の名前はエンポリオです。よろしく” “あんな子供じゃ何の役にも立たないじゃない! 私の勝ちよね?” “何だかキツそうな女の子だな。いじめられたりしてないか?” “あんなアホみたいな奴が役に立つと本気で思ってるの?” “それより、その顔の引っ掻き傷はどうしたの?” 聞くに堪えない罵り合いと平賀才人とエンポリオの自己紹介が入り混じる。 その騒々しい廊下に赤髪の少女が足を踏み入れ、輪の中に混ざる。 「あら、随分と楽しそうじゃない」 「どこがだ!」 「どこがよ!」 「平民の使い魔を呼んだ者同士、親睦を深めているのかと思ったわ」 傍らには見せびらかすかの如くサラマンダーを連れている。 さんざ待たされたのだから、これぐらいの軽口は許されるだろうとキュルケは考える。 それにしても今回の使い魔品評会のメインである二人ともが平民の使い魔。 これで果たしてお披露目が出来るのか不安ではあるが。 「まあ何にしても延期にならなかったのは良い事よね。 国賓級の要人が一堂に会するんですもの。 そう簡単に予定を変更できるものじゃないわ」 「トリステインからはアンリエッタ姫殿下が、 ガリアからはシャルロット姫が訪問なさるんでしょう。 二国の姫が顔を合わせる機会なんてそうそうないものね」 ルイズの言葉にイザベラは苛立たしげに視線を逸らす。 “なんでトリステインの行事なんかにアイツは参加してるんだ?” そう言わんばかりに顔には不満が満ち溢れていた。 その隣でキュルケはルイズの言葉を否定する。 「違うわよ。さっき聞いたんだけど三国の姫が集まるんですって」 「え? ゲルマニアってお姫様なんかいたっけ?」 「違うわよ。ほら、アルビオンの……確か名前は」 「終わりました。参加者はこれで全員です」 パイプを吹かすオスマンの前に書類の束が置かれる。 その紙束の端を捲りながら彼はほうと感嘆の吐息を漏らす。 そこには品評会に列席する来賓と関係者、 その護衛一人一人の名が余す所なく書き記されていた。 「いやはや、さすがはミス・ロングビル。 これだけの大仕事を一人でやってしまうとは」 「いえ、大した事ではありません」 そう謙遜する彼女を横目にオスマンは重要人物の項目を開く。 そこにはトリステインを代表してアンリエッタ姫殿下と、 その護衛として同行するワルド子爵率いるグリフォン隊全員の名が記されている。 幼い頃親しくしていたというミス・ヴァリエールの晴れ姿を見学する為か。 そして次のページにはガリア王国を代表しシャルロット姫殿下と 護衛にはカステルモールを団長とする東薔薇騎士団。 これも同様に従姉妹の晴れ舞台を祝福する為のものだろう。 あるいはトリステインとの交流を深めるという目的もあるのかもしれない。 この二国は利害関係も一致しているし、訪問の目的も明確にされている。 問題なのは最後の一つ。 「トリステインやガリアと交流を結ぶ為か、あるいは牽制のつもりか。 出来れば前者であって欲しいものじゃが」 開かれたページにはアルビオン王国の文字。 代表者はティファニア姫殿下。 同行者にはマチルダ・オブ・サウスゴータ以下三十名。 そのページにはそう記されていた。
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すっと右手を上げてゆっくりと迫ってくる「成れの果て」へと向けるエトワール。 その全身から魔力が放出されるのがわかる。魔術を行使するつもりなのだ。 「・・・『縮め』、オメーら。『コンプレス』」 瞬間、集団の中央付近にいた数体の肉塊がぎゅっと寄り集まった。 まるで押し競饅頭をするかのように、互いの身を激しく寄せ合っている。 ・・・なんだ・・・? 一瞬背筋が寒くなったその時、周囲に凄まじい音が響き渡った。 ブチッ!! ブチブチブチブチブチ!!!!! 形容し難い異音。水気を含んだ何かが引き千切られているような音。 寄り集まった肉塊からその音は響いている。 異音を立てつつ、成れの果て達は『縮んでいた』 彼女の命じた通りに。 周囲の肉塊も次々に吸い寄せられて行く。 その異様な光景の意味をおぼろげながらに理解する。 奴らは空間のある一点に、目に見えない凄まじい力で押し付けられているのだ。 形が変わり、縮む程の力で纏められてしまっているのだ。 「・・・空間圧縮」 ベルがぽつりと呟いた。 やがて、あれほどいた成れの果て達は残らず姿を消し、代わりに我々の眼前には野球のボール大の赤黒い球体が一つ浮かんでいるだけとなった。 エトワールが指先でピッとフロアの外を指すと、球体はヒューっと飛んでフロアの入り口から外の廊下へと消えた。 プシューっとフロアの入り口のドアが閉じる。 「・・・『リリース』」 そう呟いたエトワールが握った右手の拳をパッと開いた。 ボゴォン!!!!!! 部屋の外から爆発音の様な音が響き、先程球体を放り出した出入り口周辺の壁とドアが内側へ向かってベコベコと凹んで歪む。 そうしてできたドアの歪みから赤黒い汁のようなものがブシュッと1回室内に噴き込んだ。 ・・・元へ、戻したのだ・・・。 部屋の外であの塊を、元の数百の成れの果てへ解放したのだ。 勿論全て挽肉になっているだろうが・・・。 「んまー、こんなモン? 何かさっきのオッサンの説明だと再生するっぽいけど、帰るまで邪魔させないつー意味じゃ十分っしょ」 そしてエトワールは我々を振り返ってあっけらかんと言うと、明るく笑った。 ゲートの操作をベルに任せて起動を待つ間に、ようやくフラつきながらも立ち上がって歩ける程度に私は復調した。 「まさか・・・揃って元の世界に帰還できる事になるとはな」 倒れて未だ目を覚まさないミシェーラに寄り添う伯爵は感慨深げだった。 「君のお陰だよウィリアム君。ありがとうありがとう」 いや・・・。 私はかぶりを振ってそれを否定する。 私はただ、締め括りの部分でいらない手出しをして、たまたまそれがいい方向に転がっただけに過ぎないのだから。 しかし、あの時の・・・。 精神支配を何故免れたか。 意識を覚醒させる前に何か大事な事を掴み掛けた気がするのに、今は全てが希薄に霞んでいってしまった。 あの時私は何を見た・・・? 何に気が付きかけたのだ・・・。 しかし私に深い思索の海へと沈んでいく間は与えられなかった。 「・・・OK。起動したわ。帰りましょう」 そうベルが私達に声をかけてきたからだった。 光に包まれて転移した先は、予想していた屋敷の地下の遺跡部分ではなかった。 ・・・? 屋外? ここは・・・丘陵地帯のゲートか。 初めて私が浮遊大陸へ行った時の。 「いきなり伯爵やお嬢さんを連れて屋敷へ飛んだら面倒そうだったから。ここへ飛ぶように転移装置を設定したわ。ここからならアンカーの町も近いしね」 なるほどな。 そこで全員で抱えて引き摺るようにして連れ帰ってきたミシェーラが微かに呻き声を上げて身動ぎした。 「・・・おぉ、ミシェーラよ」 破顔する伯爵に向かって屈み込むミシェーラ。 そのまましばし無言で親子が見詰め合う。 ・・・10年ぶりの再会か。 やがて、言葉を交わす事無くミシェーラはゆっくりと立ち上がると我々に背を向けた。 そしてズシン、ズシンと足元を響かせて森の方へと歩いていく。 ・・・む、そっちはアンカーでは・・・。 静止しようとした私を伯爵が止める。 「いいのだ。行かせてやってくれたまえウィリアム君」 そして去り行くミシェーラの背を眩しそうに見やる伯爵。 「・・・お前には人間達の暮らす町は少々窮屈であったか・・・森で動物達に囲まれて静かに暮らすがよい」 おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおいあれお前の娘だよ!!!!!! 野生に返すなよ!!!!!!!!!!!! 「心配はいらん。我々が自然を愛する心を失わなければいつかまた会える」 いや娘だってば。 忘れても会ってやれよ。 本人が望んでいて親も止めないのだからもうどうしようもない。 森へと去っていくミシェーラを見送った後で、我々はアンカーの町へと引き返した。 道々、そもそも我々が何故あの屋敷を訪れたのかその経緯を伯爵に説明する。 彼ならばあのスポーツマン幽霊軍団の秘密を知っているかもしれん。 「うむ。それならば原因はわかっているよ」 思った通り、あっさりと伯爵はそう言った。 「『降霊機』というものがあってだね」 コウレイキ・・・? 「そうだ。偉大な古代魔法王国期の遺産だよ。文字通り霊を呼ぶ装置でな。異国の友人から高額で譲ってもらったのだ。私もスポーツプレイヤーの一員として、偉大な先達の声を生で聞いてみたいと思ってね」 「んーなの残ってる手記読むとかに留めときなさいよメーワクな」 エトワールが顔をしかめる。 ぬう、それでスポーツマンの霊が・・・。 つかいきなり襲ってくるというか競ってくるんですが彼ら。 コミュニケーション成り立つんでしょうかあれで。 思ったが口には出さない。 「だから呼び出す霊をスポーツに関連した人物の霊と装置に設定付けてあったのだ。屋敷の地下に置いておいたはずなのだが何かの拍子にスイッチが入ってしまったのだろう。しかもそれだけ大量に出ているとなるとパワー調節も最大になっているか壊れるかしてしまっているようだな」 装置を止めれば霊も出てこなくなる、と伯爵は言った。 かくして我々は屋敷へと戻ってきた。 早速地下へと下りて件の装置を探す。 「おお、あったぞ」 伯爵が棚から取り出したのは一抱え程度の金属製の装置だった。 表面にはルーン文字の表記があり、いくつかのスイッチや目盛がある。 「壊れてはいないようだな。スイッチを切るだけでよかろう」 ついでだ。それは持ち出してしまおう。 そんなものが側にあったのではヴァレリアも落ち着かんだろうしな。 しかし・・・。 何となく伯爵を見る。 かつては自分の住居であった場所である。 内心は色々複雑かもしれないな。 するとそんな私の視線に伯爵が気付いた。 そして何となく言わんとする所を察したらしい。 「気にする事はない、ウィリアム君。この屋敷の現在の主は定められたルールに則り正当にここの所有権を得たのだろう。今更それに異を唱えるつもりはないのだよ。財産など無ければ無いでどうにかなるものさ」 そう言って笑う。 ふむ・・・。 4階にはまだ空き部屋があったはずだな・・・。 シンクレアに話して当面はそこで暮らしてもらうようにできるかもしれんな。 とりあえず、仕事は完了した。 それをヴァレリアへと報告する。 「・・・ご苦労だったわね」 豪奢な椅子に腰掛けたヴァレリアはそれだけ冷たく言うと、手元の小さなベルをちりんちりんと鳴らした。 封筒の乗ったトレイを手にしたベイオウルフが出てくる。 「約束の報酬だ。受け取るがいい」 礼を言って封筒を受け取る。中は小切手のようだ。 「これで下らない幽霊騒ぎも御終いね。では貴方達は下がりなさい。もう用は無いわ」 そのヴァレリアの言葉に、ん?と伯爵が訝しげな表情を浮かべた。 「いやお嬢さん。止めたのはあくまでも『スポーツマンの幽霊』だけだぞ。この屋敷には元々・・・」 伯爵の言葉が終わらぬうちに、ヴァレリアに背後からバサッと何ものかが抱きついた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 サーッとヴァレリアが青ざめる。 それは半分崩れ掛けた半透明のバーコード頭のオヤジだった。 『・・・オノレ・・・万引キ中学生・・・メ・・・・』 ヴァレリアの耳元で地獄の底から響いてくるようなかすれた声を出すバーコードのオッサンの霊。 「・・・・・・ッッッッッッきゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 大絶叫が響き渡り、次の瞬間屋敷が鳴動したかと思うと窓全てとドアの全てを突き破って大量の水が外部へ爆発的に噴き出したのだった。 ~探検家ウィリアム・バーンハルトの手記より~ 第22話 6← →第23話 1
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「ここまでする必要があるとは思えねえが、まあ仕事だしな」 傭兵がぶつくさと独り言を洩らす。 ガツガツと杖の先で壁に面した地面を小突く。 あらかた後始末を終えた彼が一息入れて合図を待つ。 どうせ楽な仕事なのだから酒の一杯でもやらせてもらいたい。 そんな事を考えながら緩み切った表情を浮かべる彼の目前を何かが横切る。 その何かは大きく地面を跳ねて壁へとぶつかって転々とする。 「何だ?」 傭兵がそれにレビテーションをかけて止める。 油断しているとはいえ何か分からない物に触れたりしない。 罠かも知れないという危機感は戦場では常に持っていた。 男は距離を保ちながらそれを観察する。 白い霧の中では見えにくい同色の球。 素材は皮なのだろうか、このような物がどうして地面で大きく弾むのか、 見た事もない代物に男は興味を惹かれた。 ディテクト・マジックで魔法の反応がない事を確認すると、男はそれを手に取った。 否。手に取ろうとした。 「え?」 まるで幻であったかのように、するりと男の手を通り抜ける白球。 男の困惑など意にも介さず白球は地面に転がり落ちる。 知らぬ間に傭兵の身体は震えていた。 “自分の知らない何か”への興味は、 “自分の理解できない何か”への恐怖へと変わっていた。 直後、男の足元が裂けた。 剣で斬られたように白球が転がった後を走る亀裂。 大岩を落としたとしても、このような痕は生まれない。 瞬時にして傭兵の身体が大地に飲み込まれた。 地下に引きずり込まれる感覚に、男は目を閉じ息を止めた。 そして気が付けば、そこにいた。 外にいたはずの自分がいつの間にか建物の中に。 それも校舎の中ではなく見た事もない豪奢な屋敷。 暖炉には火がくべられており、誰かがいた痕跡が残されている。 大きなテーブルには酒や菓子が置かれ、それを裏付ける。 幻覚か、それともどこかに飛ばされたのか、 だがディテクト・マジックはそれを否定する。 半ば自棄になって置いてあった酒瓶に手を伸ばす。 そして一気に喉の奥まで流し込んだ。 だが飲み込んだはずの酒は胃には至らない。 自分の身体を突き抜けて床へと酒が零れ落ちる。 その光景に、男は思わず手にした酒を落とした。 甲高い悲鳴を上げて砕け散る酒瓶。 頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだった。 よろよろとふらつくように下がって壁に背を預ける。 見れば砕け散ったはずの酒瓶は中身ごと元通りになっていた。 まるで俺の姿をあざ笑うようにそれは床を転がる。 正気を失ってしまったのか、錯乱しかけた自分の顔に手を当てる。 「俺は……狂っちまったのか」 「いえ、貴方は正気ですよ」 突然響いた誰かの声に男は振り返ろうとした。 だが、それは出来なかった。 動かそうとした首は背後から締め上げられた。 何もない壁から生えたように伸びた腕。 それが自分の杖を掴んで喉元に押し当てる。 喉を潰され、詠唱どころか呼吸さえも侭ならない。 脳に回っていた酸素が絶たれて意識が遠のいていく。 ばたついていた足が力を失い、ぐったりと絨毯の上に伸ばされる。 それを確認するとコルベールは男の杖を手放した。 そして、ゆっくりと部屋の中央に運んで傭兵を寝かせた。 男の手足を縛り上げながらコルベールは辺りを見渡す。 何もない所に生み出された非現実的な空間。 これを作り上げたのはメイジではなく平民の少年。 溜息と共にコルベールの口から感嘆の声が洩れる。 「それにしても……『スタンド』と言いましたか、凄い能力です」 「僕には魔法の方がよっぽど凄く思えるけど」 それは決して謙遜ではない。 杖と詠唱さえあれば大抵の事は出来てしまう。 それこそ日常生活の支えから戦闘までこなせる。 そこまで便利な能力はスタンド使いでもそうはいないだろう。 だが、それ以上にエンポリオを驚嘆させたのはコルベールの技量だった。 いくら相手が混乱していたとはいえ、魔法を使わず使わせずに無力化する。 その手際は彼のいた世界の特殊部隊を思わせるほど鮮やかだった。 エンポリオはコルベールが最初に立てた作戦を思い返す。 彼は決して無謀な計画に臨んで多くの人間を危険に晒す人物ではない。 つまりコルベールには彼等は無力化するだけの自信があった、そう考えるほかない。 一体この教師は何者なのだろうか?と考えているとコルベールより声が掛かった。 「では君はここで待っていてください。私は残りの連中を片付けてきます」 「な……そんな!一人じゃ無理に決まっている!」 「いえ、問題ありません。必要な物は手に入りましたから」 そう言ってコルベールが男の全身を覆っていた布を剥ぐ。 恐らくは他の仲間も同じもので素性を隠しているのだろう。 これを被っていれば警戒される事なく敵に近付ける。 そうすればエンポリオのスタンドが無くても一人ずつ仕留められる。 コルベールは初めからそのつもりだった。 エンポリオのスタンド能力を利用するのは一回だけと心にそう決めていた。 「僕も戦えます!」 「ええ、知っています。君はとても勇敢な少年です」 顔を上げたコルベールが優しげに微笑む。 なのにエンポリオの目には彼の表情がどこか悲しげに映った。 「だけど君には戦って欲しくない……これは私のワガママです」 「そこまでして『スタンド』の事を隠さないといけないの?」 「そうです」 エンポリオはイザベラの言葉を思い出した。 “『スタンド』の事を誰にも話してはならない” その約束を交わした理由は彼女の個人的な動機だけではなかった。 コルベールも彼の能力を目の当たりにするまでは危機感を感じていなかった。 エンポリオの能力を聞かされた時、彼はそれを先住魔法に近い物だと推察した。 相手に有りもしない部屋の幻覚を見せる、その程度だと侮っていた。 だが彼のスタンド“バーニング・ダウン・ザ・ハウス”を体験し、それは驚愕へと変わった。 断じて幻覚などではない。彼はこの場に全く別の空間を作り出している。 それは魔法でも先住魔法でも、恐らくは虚無の力でさえも再現できない能力。 この事が知られれば彼は間違いなく能力解明の為のモルモットにされるだろう。 アカデミーは探求の為ならば犠牲を省みない。 かつてコルベールは自分が所属していた実験部隊の事を思い出す。 “疫病の蔓延を防ぐために村一つ焼き払う” それは自分にしかできない事だと思った。 子供から老人に至るまで誰一人逃さず焼き殺す。 それだけの腕と覚悟を持っているのは自分だけだと確信していた。 すべてはトリステイン王国の為、そこに住まう多くの民の為。 だが、私は祖国に裏切られた。 私が焼き殺したのは守るべき無辜の民。 たった一人の人間の出世の為に利用された生贄の羊たち。 アカデミーも恐らくは気付いていたのだろう、あの村に疫病など存在しない事に。 もし原因不明の病気が発生したならば必ずアカデミーの調査が入る。 なのに、そんな嘘に騙されていたとは考えにくい。 彼等は知りたかったのだ。 自分たちの実験部隊がどれだけの性能を発揮できるのか、 どのような任務であろうとも忠実に実行に移せるのか、 それを知りたくてリッシュモンの口車に乗った。 だけど彼等を責める事は出来ない。 そのような事が許されるはずがない。 実際に手を下したのは私だ。 それはどんな理由をつけようも変わらない。 何よりも私も彼等と同類だ。 私も知りたかったのだ。 自分の魔法がどれだけの事を成せるのか。 編み出しても使う事はないと思っていた魔法。 それを振るう機会を与えられた私の心は あの時、確かに歓喜に震えていたのだから……。
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多人数プレイ 本作にはノベルゲームにも関わらず、高校生側と悪霊側に分かれて協力プレイまたは対戦プレイができる珍しい機能があります。 このモードは厳密には対戦というより、ボードゲームで言うところのGM側担当プレイヤーをつけて遊べるような感じです。 ゲームシェアリングに対応しておらず、ソフト本体が複数ないとプレイできない仕様ということもあり、ネット上にはプレイしたという報告はほとんどありませんでした。このページに詳細な仕様などを記述します。 主な仕様 最初に多人数プレイ画面に入ったGBA本体がキャスト(プレイヤーの割り振り)選択などのゲーム開始フローを担当する キャストはどのような組み合わせでも可能(高校生側2人、高校生側3人、カンバラ1人と高校生側1人など) オープニングを見るかどうかや、卦三郎、ドレーフスのセリフを聞くか各GBAのプレイ履歴にかかわらず選択可能 多人数プレイでも獲得したアイテム・幽霊図鑑は保存され、高校生側のキャラクターステータスもそれぞれキャストを担当したGBAで強化される 一人プレイ時にカンバラ側を選択した場合、1階に行くまでは見たことがない部屋を出現させられないようになっているが、多人数プレイではまっさらなデータでも全ての選択肢が出現する CPU担当の高校生側キャストは体力と気力がデフォルト値よりも1づつ多い(ユイ:体力6、気力8。ヒロ:体力11、気力6。レスリー:体力5、気力5) 高校生側の複数のキャストが選択肢を選ぶような場合、1対2や1対1対1などで揃わないとランダムで決定される セーブはどのGBAからでも可能 考察 高校生側を鍛えたキャラクターデータでプレイすると、高校生側が圧倒的に有利になってしまう。 本作はボードゲームを意識して作られたと思われるので、バランスを言い出すとゲームとして成り立っていないが、ホラーゲームということで、高校生側は初期ステータスで、シナリオをよく理解したカンバラ側がほどよく手加減しつつ遊ぶとこのゲーム特有のランダム性の理不尽さが薄れ、緊張感が出て楽しいかもしれない。 このモードでもアイテムや幽霊図鑑は回収できるので、どうしてもリストがコンプリートできない時に2台使って遊ぶという手も……。 また、カンバラ側は最終盤、嵐の船以降は選択肢がないので暇である。
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「それじゃあ品評会での健闘を期待してるわ」 “平民に出来る芸などない”言葉の裏に嫌みを含めてキュルケは立ち去る。 現にルイズは半ばまで諦めている。 だがキュルケの背中にイザベラは不敵な笑みを浮かべていた。 彼女たちはエンポリオの“スタンド”について何も聞かされていない。 ただの平民と侮る彼女を心中で嘲笑うイザベラにエンポリオが声をかけた。 「やっぱり隠し通すの?」 「当たり前じゃないか。前にも言っただろう」 “スタンド”の存在を決して他人に明かさない。 それは幽霊の部屋を出る前に話し合って決めた事だった。 こんな異質な力を持った使い魔は後にも先にもエンポリオ一人だ。 その能力を解明する為に解剖や実験台にされる恐れがあった。 「……でも」 何の能力もない子供を使い魔としてお披露目に出せば、 召喚に成功したとしてもイザベラの面目は間違いなく潰れる。 それも一国ではなくトリステイン、アルビオン、ガリアの三国でだ。 なのに彼女は自分の名誉よりエンポリオを優先した。 不器用かもしれないけど、彼女はその内に確かな優しさを持っている。 「それに、もったいないじゃないか」 「はい?」 「せっかく誰にも知られていない能力なんだ。 いくらだって悪戯に使えるのに、わざわざ他人に教えてやるものか」 「……………」 「まあ勘付かれたり遊びに飽きてきたら教えてやってもいいかな。 それまでは、たっぷりとこの力で遊ばせてもらうよ」 楽しげな想像をして下品な笑みを浮かべるイザベラから視線を外し、 エンポリオは大きく天を仰いで天井を眺めた。 “神様、僕そんなに悪いコトしましたか?” 人が出会う事が運命なら、よっぽどトラブル好きな引力を持っているに違いない。 真上を向いた瞳の中に溜まった涙が零れ落ちそうになっていた。 落胆するエンポリオを引き摺り、イザベラは部屋の前まで戻るとそこで足を止めた。 彼女の部屋の前に置かれた見慣れぬケース。 形も大きさもヴァイオリンのような楽器を収める物に近い。 小柄であれば人一人ぐらい隠れられるかもしれない。 首を傾げる彼女に、荷物を運んできたらしい黒髪のメイドが手紙を渡した。 宛先と送り主だけが書かれた簡単な書簡に目を通す。 そして、そこに書かれた名前を見てイザベラは溜息をついた。 「今度は何を贈ってきたんだい? うちの父上は」 せめて何を、どんな目的で贈ってきたかぐらい書け。 胸中でそう愚痴りながら彼女はケースに手をかけようとして止めた。 万が一、厄介な代物だった場合を考慮して彼女は最善の策を導き出す。 「そこのメイドと幽霊! こいつを開けて中身を確かめな!」 突然、声をかけられて呆然とするシエスタとエンポリオ。 “さっさとしないか!”というイザベラの激昂にびくびくしながら、 二人は部屋の前に置かれたケースへと近づく。 既に“スキルニル”の話を聞かされたエンポリオはもちろん、 自分たちと距離を取って様子を窺うイザベラの姿に、 シエスタは泣きそうになるぐらい目前の物に脅えていた。 エンポリオはもうさっき泣いたので涙は流さなかった。 意を決して二人はケースの取っ手らしき部分に手をかけた。 ここで逃げれば片方が犠牲になる。 シエスタは自分の弟ぐらいの年頃の子供がひどい目に合うのは耐えられないし、 エンポリオも困っている女の子を放って逃げるなんて出来ない。 それに、ここで逃げても間違いなく彼の主はエンポリオを捕まえ、 もっとひどい目に合わせるだろうと確信していた。 せえの、という小さな掛け声が響き二人は同時に力を込めた。 軽快な音と共に、ケースの開け口が左右両側に広がる。 次の瞬間、二人の口から漏れたのは悲鳴ではなく感嘆の声だった。 「何があったんだ?」 危険はないと判断したイザベラが二人を押しのけてケースの前に出る。 そこにあったのは青を基調としたフリルのついたドレスだった。 ならケースはドレスが型崩れしない為の携帯用のクロ-ゼットか。 シャルロットの持っているドレスに似ているが、その細部は異なっている。 彼女のドレスが透明感を持った空の蒼だとするなら、 イザベラの前に置かれたドレスは海の青を連想させる。 人を惹き寄せる明るさよりも王族の威厳を感じさせる深い色彩。 彼女の左右で息を呑む音が聞こえる。 物の良し悪しが分からない平民たちでも理解できるみたいだ。 これはそこらの貴族が有り金叩いた所で手が届くような代物ではないと。 それこそ王族しか身に纏えない本物のドレスだ。 恐る恐るイザベラはドレスのフリルに手を伸ばした。 壊れ物に触れるかの如く、優しく撫でるように指を伝わせる。 羽のような手触りと滑らかな質感が指先に返ってくる。 不意に、涙が零れ落ちそうになった。 ずっと前から欲しいと思いながらも諦めてきたもの、 それが今、彼女の目の前にあった。 宮殿では目には見えない、明記されないルールが無数にある。 その中でも立場の差は絶対的なものだった。 いくらオルレアン王やシャルロット姫がその温和な人柄で、 立場の違いに拘らないとしても王宮はそうはいかない。 シャルロット姫と同等、あるいはそれ以上のドレスを纏ってはならない。 それがイザベラに課せられた枷だった。 身分が下の者が上の者よりも華やかでは示しがつかない。 そんな馬鹿げた決まりは遥か以前から今日まで守られていた。 一体どれだけ羨望と嫉妬の入り混じった瞳で、 シャルロットのドレス姿を見上げただろう。 互いの服を交換して入れ替わる遊びなんて今は出来ない。 まだ、どちらが姫になるかは分からなかったのは遥かな過去。 父上にねだる事さえ諦め、忘れ去ろうとした想い。 「……そっか。ここはガリアじゃないんだったね」 二人には分からない言葉を呟いてドレスの裾を握った。 多分、その表情は崩れていた。 下僕の前で示しがつかないと思ったけど止まらなかった。 どんな風に笑っているのかは分からないけれど、きっと情けない姿に見えただろう。 目を閉じて彼女は青空の下に思いを馳せる。 そこには空の色よりも深いドレスを纏った自分の姿。 シャルロットや他の王族が集まる中で、わたしは―――。 「ああ!?」 突然、素っ頓狂な声を上げたイザベラに二人がびくりと背筋を震わせる。 見る間に蒼白に変わっていく彼女の顔を前に、エンポリオは話しかけた。 「ど、どうしたの? おねえちゃん」 「……マズイ。それで何も出来ないなんて晒し者じゃないか!」 体裁だけは整えて“わたしの使い魔は平民なので何も出来ません”なんて、 たとえ口が裂けたって言えるはずがない。 かといって“スタンド”を明かしてしまうのは、あまりにも勿体無い。 いっそドレスを諦めるか? ダメだ、それだけは出来ない。 この機会を逃せば、次のチャンスなんてあるのかさえ分からない。 それまでの間に退学にならないとも限らない。 「こうなったら幽霊を扱えるのを隠して、 何でも小さくして持ち運べる能力として……くそ、調べられたら一発でバレるか」 当人を置き去りにして、彼女は苛立たしげに思考を巡らせる。 しばらくブツブツと独り言を呟いていたイザベラがエンポリオに向き直る。 その眼には力が篭り、口元に浮かんだ笑みが自信を覗かせる。 そして彼女はエンポリオに言った。 「今すぐ何か芸を身につけな。火を吐く程度でいいから」 「む……無理だよ」 “何が無理だ! 初めから諦めてちゃ何も上手くいかないだろ!” “そんなのどう考えたって出来るわけがない!” “スタンドだって似たようなものだろ! 文句言う口を有効に使え!” そんな無茶苦茶な要求を突きつけるイザベラと、 困惑するエンポリオを余所にシエスタがドレスに魅入り、 別の部屋ではルイズが投げたボールを、 サイトが口でキャッチする練習をさせられていた頃。 アルビオンから訪れた使節団はトリステイン王立魔法学院の間近まで来ていた。 長い列の中央には意匠が施された馬車、その隣には中年の騎士、彼の背後にはマチルダ。 騎士が馬車の扉を軽く叩いた。それは拍子を変えて数度繰り返される。 事前に取り決めていた合図の音に、車内の人物の長く鋭い耳が微かに震えた。 それは人ではなくエルフという種族が持つ肉体的な特徴。 声の代わりに内側から扉を軽く叩く音が響いた。同様に拍子を変えて数度。 それを確認して騎士は前へと向き直った。 そこには楽しく同僚と談笑する若い兵士の姿があった。 彼は咎めるような事はせず、ポツリと呟いた。 「これでいい。これでいいのだ」 まるで自分に言い聞かせるように彼は繰り返す。 彼の後ろに付いていたマチルダはその言葉を聞きながら顔を曇らせていた。 その長い列を馬上から一組の男女が見ていた。 気取られぬように森の木々に身を隠して遠くから窺う。 列が過ぎ去ったのを見届けて目深くフードを被った女性が 前方で手綱を握る騎士に声をかける。 「追いかけてください。決して見つからないように」 「了解しました。特務士官殿」 それに頷いてアルビオンの竜騎士ヘンリー・スタッフォードは馬を歩ませた。 砂埃を巻き上げず、されど見失わないように細心の注意を払って、 彼等の馬はその場を去っていった。 蹄鉄の跡だけが残された森の中。 過ぎ去っていく行列と馬上の二人を誰かが見ていた。 息を殺し、気配を断ち、薄暗い森の中で白い瞳だけが蠢く。 森の中から覗く目が遠く離れた馬車へと向けられる。 その瞳は悲しげで、虚ろで、しかし確かな殺意に満ちていた。
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森の中を2つの影が疾走する。 彼等の身体を覆う布が風にバタバタとはためく。 しかし、一切構わず彼等は集合地点へと直走った。 小さな人形を手に一刻も早く異変を伝えるべく駆ける。 「早く抑えつけろ!」 「布を口の中に! このままじゃ舌を噛むぞ!」 彼等が辿り着いた直後、喧騒が耳に届いた。 その中心には必死に抵抗する少女と、それを取り押さえる数人の男。 地面に広がる少女の乱れ髪。その色に駆けつけた男達は言葉を失った。 しかし、それも僅か。すぐさま気を取り戻すと騎士の下へと報告に向かう。 「………どうしました?」 近付いてくる部下の尋常でない様子に彼は明らかな不審を覚えた。 いや、先程から感じていた不安が具現化しようとしていたのかもしれない。 生還した喜びを分かち合うよりも先に彼は報告を求めた。 それに彼等は手にした人形を差し出して答えた。 「これがシャルロット姫の馬車の中に」 それを目にした瞬間、騎士の顔色が変わる。 人形を受け取ると眼鏡の位置を直しながら確認する。 『スキルニル』それがこの人形の名前だ。 血を与える事でその人物の容姿も技術も模倣する魔法人形。 確かに珍しい物だが、驚いたのは人形の存在ではない。 “何故、シャルロット姫の馬車にこれがあったのか” それが何よりも大きな問題なのだ。 「ああ……なんという事でしょう」 騎士は十字を切ると嘆くかのように呟いた。 情報の断片がピースとなってジグソーパズルを組み上げる。 出来上がった絵は何よりも残酷で恐ろしい物だった。 襲撃者達にとってもイザベラにとっても―――。 「むぐぐぐぐ……」 イザベラの口の中に丸めた布が押し込まれる。 男数人がかりで取り押さえる様はまるで乱暴しているようにしか見えない。 彼女の醜態を眺めながらマチルダは思わず溜息を漏らした。 とはいえ彼女の気持ちは理解できる。 人としての尊厳を奪われるのは命を奪われるよりも辛い。 ましてや名誉を重んじる貴族、その頂点ならば尚の事。 奴隷以下に堕ちると知れば自らの命を断とうとしてもおかしくない。 だからこそ知られたくはなかったというのに。 (ったく。だからもう少し真っ当な連中を雇うべきだったんだよ) 俯くマチルダの隣を騎士が通り抜けていく。 顔を上げる彼女の目に映ったのは悲壮な表情を浮かべた顔。 重たそうな足取りでそれでも前へ行こうとする彼の姿は、 どことなく処刑場に向かう罪人のそれに似ていた。 イザベラの傍らまで近付くと彼は腰を落として彼女と視線を合わせる。 憐憫の篭った男の目と憎悪を滲ませるイザベラの目。 だが彼女の方は虚勢に等しい。 今にも恐怖に押し潰されそうな彼女の目尻には涙が浮かんでいる。 見つめ合う事、数秒。騎士の手が彼女へと伸びる。 それにイザベラは怯え、視線を逸らして身を硬くした。 しかし、彼は咥えさせられていた布を抜き取ろうとしただけだった。 「申し訳ありません。貴女を連れて行けなくなりました」 騎士は深く頭を下げてイザベラに謝った。 その言葉の意味を彼女は理解できなかった。 シャルロットが捕まったからもう必要ないという事か。 いや、人質は多いほど良いに決まっている。 あるいは逃げ切れないと観念でもしたのだろうか。 それにしては明らかに様子がおかしい。 普通なら投降に備えて武装解除や白旗を揚げる。 なのに連中にはそういった行動が窺えない。 「これが何かご存知ですか?」 困惑するイザベラの前に『スキルニル』が差し出される。 無論、彼女はそれが何かを知っている。 エンポリオにも説明したし、彼女も保有している。 しかし、これがどうしたというのか。 確かに珍しい魔法の品だが手に入らない事もない。 彼女の表情を見て、知っていると判断した騎士が続ける。 「シャルロット姫の馬車から見つかったそうです」 その意味をイザベラは理解できなかった。 否。与えられた情報のピースは騎士と同等。 ならば、それを構築するのに時間はかかろうとも、 答えを見出せないなど彼女には有り得ない事だった。 理解できなかった理由は、真実を受け入れるのをイザベラが拒絶したから。 呆然とする彼女から視線を外して騎士は天を仰いだ。 ここには居らず、されど彼方より自分達を操った怪物を睨む。 全てはジョゼフの手の上での出来事だった。 一体どこからどこまでが彼の思惑通りなのか。 いや、考えるまでもない、全部だ。 初めから結末までもがジョゼフの筋書き通り。 品評会への参加そのものが我々を誘い出す為の餌。 イザベラ嬢のトリステイン魔法学院への転校をカードにして、 ガリア・トリステイン・ゲルマニアの三国同盟という絵図面を見せたのだ。 いや、どのみち手を打たなければブラフではなく実現するだけの事。 動こうとも動かずともアルビオンの敗北は決まっていた。 攫うべきシャルロット姫はここには居ない。 出立前に確認したのはスキルニルで真似た紛い物。 ガリアに潜んだ密偵からの情報も全て偽り……故意に流した物だ。 新たに仕立てたドレスもわざわざ我々を引っ掛ける為に用意したのだろう。 シャルロット姫の肖像画が手に入らなかった我々が目印にするだろうと、 ジョゼフはそこまで計算して、この場にいる全員を弄んだのだ! アルビオンもトリステインもガリアもゲルマニアもだ! 「……怪物め」 奴は当初から計画の全容を把握していた。 ならば事が起きる前に阻止できた筈だ。 そうすれば互いに無駄な血を流さずに済んだだろう。 この手で部下を殺めずとも騙まし討ちなどしなくとも……。 何故それをしなかったのか、 自分の手駒とならぬ東薔薇花壇騎士団が邪魔だったのか、 トリステイン王国に交渉材料となる失態を演じさせたかったのか、 それとも我々に弁解の余地もない状況を作らせたかったのか。 否。それらは全て“ついで”に過ぎない。 ジョゼフの人となりを幾つかの事例を通して騎士は知っていた。 彼の知る限り、ジョゼフの性格は歪なほど捻くれている。 何度かチェスの名人を招いて勝負をしたが、その全てにジョゼフは勝利した。 しかも、ただ勝っただけではない。その勝負の内容に問題があるのだ。 奴はあえて序盤は相手に譲って盤面を優勢に進めさせる。 それに気を良くして打ち続ければ、いつの間にか逆転されている。 これは単にジョゼフの得意な手を意味する物ではない。 奴にとって勝利するのは目的ではない。 勝利を目の前にしていながら無惨に屈する相手を。 後一手で届いたかもしれないと悔やむ相手を。 それを遥かな高みで見下ろすのが何よりの愉しみなのだ。 ――そして奴にとってはチェスも実戦も同じだったのだろう。 此処ではないどこかで奴はきっと嘲笑っている。 全てが上手くいっていると思っていた我々が、 自分の掌の上で踊らされている事に気付いて絶望するのを。 胸を引き裂きたいほどの怒りが騎士に込み上げる。 犠牲者全員を冒涜するにも等しきジョゼフの凶行に、 義憤と私憤、その両方が焼き尽くさんばかりに猛る。 しかし、それを押し殺して彼はイザベラへと向き直った。 ジョゼフの娘とはいえ彼女には何の咎もない。 いや、彼女はこの場にいる誰よりも“被害者”なのだ。 哀れみを込めて騎士は彼女に言い放った。 「貴女は利用されたのです。御父上にシャルロット様の身代わりとして」 「え?」 間の抜けたような声が彼女の口から洩れる。 彼女はまだ理解できなかった。いや、したくなかったのだ。 それを認めてしまえば間違いなく壊れる。 かろうじて彼女を保っていたものが終わってしまう。 だって信じたかったから。 薄情な、人間味のない父親でも家族だったから。 たとえ疎遠でも血は繋がっている親子だから。 あんなのでも父親だと思っていたから。 平然と他人のように切り捨てるなんて、 考えたくなかった/信じたくなかった/思いたくなかった。 どれもが何の根拠もない希望だと分かっていながら。 打算と駆け引きで成り立つ世界だと知りながら、 彼女は心のどこかで肉親の情に縋っていた。 ――それが今、決定的な形で裏切られたのだ。 走馬灯の如くイザベラの思い出が駆け抜けていく。 中には楽しかった記憶もあったかもしれない。 だけど蘇る光景全てに砂嵐のようなノイズが混じる。 シャルロットもジョゼフもシャルルも王妃も、 誰もがヒビだらけの顔をイザベラに向けていた。 虚ろな瞳で見上げるイザベラに騎士は杖を向けた。 歳端もいかぬ少女を殺す事に躊躇いはなかった。 顔と素性、それに目的を知られた以上、生かして帰せない。 負けは決まったが、まだ彼等には脱出する望みがある。 それに洗脳された可能性があるのならばガリア王国は彼女を放置しない。 良くて幽閉、最悪の場合はアルビオン王国の手にかかって死亡したとされるだろう。 彼女に生きる希望はない。ならばここで楽にしてあげるのが自分の務めだ。 父親の愉悦の為に命を散らす少女に祈りを捧げる。 せめて苦しまずに、始祖と神の御許に行けますようにと。 ブレイドを帯びた杖をイザベラは無言で見つめる。 直後、彼女の指に何が触れた。 白くて丸い、玉子のような不思議な球。 彼女は自然にそれへと縛られた手を伸ばした。 彼女の心臓へと絶命の刃が迫る。 その刹那。イザベラの身体が騎士の目前から消失した。 突き出された騎士の杖が目標を失い、空を切って地面を貫く。 「うわあ!」 転がり落ちてきたイザベラの身体をエンポリオが受け止めて倒れる。 いくら小柄の少女といえど彼女を支えるだけの腕力なんてない。 炭焼き小屋の床に叩きつけられ、思わず少年は悶絶する。 そこは以前この森の中にあった炭焼き小屋だった。 とっくに朽ち果てて消滅した物をエンポリオがスタンドで具現化したのだ。 だがイザベラたちの近くにあったのは偶然ではない。 彼等は辺りに木のない開けた場所を集合地点としていた。 開けた場所というのは、つまり以前に建物か何かがあった場所である可能性が高いのだ。 そして、やはり炭焼き小屋はそこにあった。 「お姉ちゃん、大丈夫?」 身を起こしながらイザベラに怪我がないか確かめて安堵の溜息を漏らす。 落ちてきた時の怪我は勿論、その前に暴行を受けてないか不安だった。 何しろ口が恐ろしく悪いので人質とはいえ2、3発殴られていてもおかしくない。 手足を縛るロープを見て部屋に置いてあったナイフを手に取る。 幽霊は生物には干渉できないが、こうした物に対しては有効に使える。 理由は分からない。スタンドだからか幽霊だからかも分からない。 これはそういう物だと考えるしかない。 固い結び目にあまり切れ味の良くない刃を食い込ませる。 よほどきつく縛ってあるのだろう、エンポリオの力では映画のように切断できない。 見れば無理に切ろうとした所為で縛られたイザベラの手首には血が滲んでいた。 しかし、それにも関わらずイザベラは何も言わない。 苦悶の声も苦情も言わずにただ成すがままに従う。 心配しながらもエンポリオはロープの切断に集中する。 もし下手に暴れられたら余計に悪化する恐れがあるからだ。 ようやく手首を縛るロープが切断される。 疲労と安心からか溜息を漏らすエンポリオ。 その彼に拘束から解放されたイザベラの手が伸びた。 ずしんと小屋に鈍い音が響き渡った。 イザベラが掴んだのはエンポリオの首。 それを両手で万力のように締め上げながらイザベラは覆い被さる。 「お……おねえ……ちゃ……」 言葉にならない声がエンポリオの喉を震わせる。 苦しげに咳きを零し、困惑に満ちた眼差しでイザベラを見上げる。 そして同様に彼女もエンポリオを見下ろしていた。 しかし、イザベラの瞳に映るのはエンポリオではなかった。 相手の顔にかかる不気味なノイズ。 誰とも知れない者の首を締め上げながら彼女は叫ぶ。 「殺してやる…! どいつもこいつも殺してやる! シャルロットも父上も叔父上も叔母様も、 ルイズもギーシュも連中もお前も、皆、皆殺してやる!」 鬼気迫る表情と怨嗟に塗れた言霊。 だけど、少女の瞳から行き場のない涙が溢れていた。